既婚者から見ると

憂鬱だ」という増田エントリーを知ったのは、asami81さんのiGirl「増田さんへ。私は久しぶりに激怒しました。」というエントリー。

 ブクマコメントでも賛否両論いろいろあるのだが、絶対家父長制で育った既婚子持ち三十路の私(考え方が古い)からするとリアリティに欠けるなぁ、というのが正直なところ。

 まず、結婚する際に「相手の親=障害」だと思っている(と思われる)点。
 結婚したら親子になるという観点が抜けているのがとても気になる。

 昔はいざ知らず、現在は結婚は好き会う二人が決める事がほとんどだ。
 が、結婚すれば「二人の世界」だけで済まない事をじわじわと実感する。(より正確に言えば、結婚準備中から)
 あちらの親が新居の家具を買ってくれれば、こちらの親は結婚式の費用を出すと言う。一事が万事そう。
 別に意地の張り合いという訳ではなく(まぁそういう人もいるとは思うが)、お互いに自分の子供が大切だから「どれだけ大切に思っているか」をモノで示そうとしているだけなのだ。
 とはいえ、終わりのない親同士の「うちがうちが」合戦の調整をするのは非常に面倒だし、かつ難しい。どちらかの親を立てればもう一方の親の気分を害するかもしれないから。

 結婚したら一段落かと思いきや、今度は親族付き合いが待っている。
 「一族が集まる」という事態は都会に住んでいればあまりない。せいぜい何人かが「新居に行きたい」と言うくらいで、それも最初の半年くらいを乗り切ればほとんどないだろう。
 が、一族によっては正月に集結したりする。あるいは、何年もすると「法事」で顔をあわさない訳にはいかないだろう。
 この時、「相手方の親族は関係ない」と妻だけ出席させると、妻は針のむしろだ。「あなたの旦那はどうせ来ないのか」と、何人もの親族から言われる事だろう。かといって出席したのに話さない訳にもいかない。一族に入ってきた(たとえ娘の旦那だとしても、そこはやはり一族なのだ)のがどのような人物なのか、人々はそれを知りたいのだから。

 まぁそこまで考えて結婚する人はなかなかいないと思うし、私自身もその大変さに気づいたのは結婚後だった。
 とはいえ、せめて相手の両親くらいは「他人」と考えないようにしないといけないと思う。
 この増田さんの認識は、完全に「他人」 結婚後、相手のご両親とどのような関係を築いていこうとしているのかが全く見えない。

「君はその仕事を続けるのか?転職する気は?ないの?フフ」

 相手の父親のこの一言に、果たしてどう答えたのか。書かれていないので推測するしかないのだが、その後の流れから察するに将来に対するビジョンを示せたようには思えない。

 増田さんの「年収260万」を笑った相手の親の常識を疑うブクマコメントも多かったが、私は「親としては自然な反応」だと思う。
 自分の娘の相手が「年収260万」と聞けば、果たしてどうやって生計を維持していくのか疑わしく感じるのも当然だろう。「まさか娘の稼ぎをアテにしているのか」と勘ぐっても仕方のない事だ。それに将来子供が生まれれば、女性に否応なく働けない期間が発生してしまう事も認識できているのかどうか。その間の生活はどうやって維持するのか。
 私だったらそんな相手には嫁がせたくない。(約20年後には私も悩む事になるだろう)

 ここで結婚後の生活をどのように考えているのか、それを示せれば低年収だろうが納得したかもしれない。
 相手(女性)が「私は一生働きたいから、増田さんの収入が多くなくても大丈夫なの」と言うとか、自分で「年収を増やすべく、転職を視野に入れている」と言うとか。そこに熱意があったり説得力があれば、相手の親だって了承してくれたのではないかと思う。

 増田さんは、相手を通じて相手の親とコミュニケーションを図っていなかったのだろうか。
 相手の親がどんな人なのか、それを相手から事前に聞き出しておく必要があったのではなかろうか。
 そして相手さんも、増田さんがどんな人であるかを事前にご両親と話していなかったのだろうか。

 ちなみに食事代をどちらが払うかだが、

・相手の親に呼び出された(場所の予約は相手の親)のなら、相手の親払い
・自分が相手の親を呼び出した(場所の予約は自分)のなら、自分(増田さん)払い

 というのがごく当然の事だと思う。相手に呼び出されて自分払い、はないかな。このパターンなら驚いても不思議ではない。
 まぁ自分がセッティングしても、おうおうにして親が「私が払うよ」と払ってくれる事が多いと思うが。(私の場合の「両親顔合わせ会」もそうだった)


 何というか、失礼な言い方になるが「最悪な場合を妄想してみました(まだ彼女もいないけど)」という印象を受けた。
 ここまでひどい相手の親との会話もなかなかないと思う。

P.S.
 そういえば結婚式を半年延期した(うちの両親に「まだ早い」(当時24歳)と言われて説得できなかった)り、結婚式の約1ヶ月前に会社を辞めてフリーランスになったりと、最初は相手の親族に「何なんだこいつは」と思われていたなぁ。PCに詳しいという事と合唱指揮者経験で培った対人交渉術で、今では私単独で相手の親族(not相手の親)の家に行ったりしているが。